ドローン撮影の基礎知識その1|空撮には免許や許可が必要?

武田 知也

空から俯瞰して見た街の景色や、雪山などの極地撮影、ドローン撮影での映像は様々なシーンで見かけるようになってきました。

ドローンの空撮映像はよく見るけれど、撮影の許可や免許についてなど、実際の撮影に必要な情報はあまり知られていないのではないでしょうか?

今回はドローン撮影に関する疑問にお答えします。


京都広告デザイン.comでは、ドローンによる空撮を行っております。

【西日本選手権競漕大会ドローン撮影(空撮)】

ドローン撮影に免許は必要?

結論から言いますと、2021年7月現在日本においてはドローンの免許制度は導入されていません。現在は、国土交通省航空局に許可を出せば、特別な資格や免許がなくてもドローンを飛ばすことが可能です。

しかし、国土交通省はドローンのさらなる活用に向けて、一部の飛行条件に対して2022年度を目処にライセンス制度(国家ライセンス)の運用開始を目指すとしています。

2022年のライセンス導入の背景について

現在のドローンの飛行形態は、国土交通省により、飛行場所の無人/有人と目視内/目視外操縦を飛行リスクの低い順に以下のようにランク分けしています。

レベル1 目視内での操縦飛行(空撮・橋梁点検)
レベル2 目視内飛行 自動・自律飛行(農薬散布・土木測量)
レベル3 無人地帯における目視外飛行
レベル4 有人地帯における目視外飛行 【現在飛行禁止】

このうち、現在は飛行を認められていない「レベル4有人地帯での目視外飛行」操縦の実現に向けて、2022年度を目処に操縦者の技能を証明するための操縦ライセンスが導入されることとなりました。またドローン機体の安全性を承認する機体認証制度も設立されます。

これは将来的にドローンを使った災害対応、インフラ維持、物流、警備、医療、農林水産などの分野でドローンをもっと活用するための環境整備・法整備の準備として「有人地帯での目視外飛行」のライセンスを導入するというのが政府の狙いのようです。

またライセンス導入により、一定の条件を満たすことで、レベル1〜レベル3のこれまで許可・承認が必要だった飛行の手続きの省略が可能になるようです。

所有者の登録義務が必要に?

また航空法改正案により、2022年までにドローンの所有者・使用者の登録を義務化させる登録制度が導入されることになりました。車のナンバーのように、所有者情報と紐付けられた登録番号をドローン機体へ表示することを義務付けられるようになります。

また、施行にあわせて登録・許可承認の対象となる無人航空機の範囲を100g(現行200g)以上に拡大されるようです。

現在の日本の法律では、199g以下(200g未満)のドローンはトイ(おもちゃ)扱いとされてきましたが、中国をはじめとするマイクロドローンの技術革新によって、いよいよそのレベルを引き上げざるを得ない状況になってきました。

免許制度化、登録制度義務化の背景には、今後、産業ドローンの需要がますます見込まれることがあります。また、ドローンに関するトラブルも年々急増しており法整備が急がれます。

ドローン撮影で撮影可能な場所や必要な許可は?

ドローンを飛ばすために必要な許可は大きく分けて「場所の許可」「方法の許可」の2つがあります。

まずは撮影したい場所が、空港付近や人口が密集している地域など、飛行が原則禁止されている場所でないかを確認する必要があります。

次に夜間撮影や撮影者の認識できる範囲を超えた目視外の撮影かなどの撮影方法を確認します。

撮影場所、方法は航空法で禁止や許可の必要性などが定められています。
下に、原則飛行禁止空域順守する必要があるルール承認が必要となる飛行方法の3項目をまとめました。

また、各自治体によっても別に定めたルールもあるため、空撮する場所や対象が決まった時点で、許可が必要な場所か、また禁止場所ではいかなどの確認が必要です。

原則飛行禁止空域

1 空港・ヘリポート周辺の空域

2 地上・水面から150メートルの高さの空域

3 人口集中地区の上空

4 国重要な施設の周辺

5 外国公館の周辺

6 防衛関係施設の周辺

7 原子力事業所の周辺

※1、4~7の施設の周辺で飛行させたい場合には、施設管理者等の同意や都道府県公安委員会等への事前 通報が必要です。

※3 平成 27年の国勢調査の結果による人口集中地区の上空
http://www.mlit.go.jp/koku/koku_tk10_000003.html

※4 国会議事堂、首相官邸、危機管理行政機関、最高裁判所、皇居・御所、政党事務所等)

順守する必要があるルール

飛行させる場所に関わらず、無人航空機を飛行させる場合には、以下のルールを守る必要があります。

1 アルコール又は薬物等の影響下で飛行させないこと

2 飛行前確認を行うこと

3 航空機又は他の無人航空機との衝突を予防するよう飛行させること

4 他人に迷惑を及ぼすような方法で飛行させないこと

5 日中(日出から日没まで)に飛行させること

6 目視(直接肉眼による)範囲内で無人航空機とその周囲を常時監視して飛行させること

7 人(第三者)又は物件(第三者の建物、自動車など)との間に30m以上の距離を保って飛行させること

8 祭礼、縁日など多数の人が集まる催しの上空で飛行させないこと

9 爆発物など危険物を輸送しないこと

10 無人航空機から物を投下しないこと

承認が必要となる飛行方法

以下の撮影方法を行う場合は、事前に地方航空局長の承認を受ける必要があります。

1 夜間飛行

2 補助者を配置しない目視外飛行

3 地上・水面から30メートル未満の距離での飛行

4 イベント上空飛行

5 危険物輸送

6 物件投下

まとめ

いかがでしたでしょうか?
次回のコラムでは、京都広告デザイン.comでのドローン空撮をご依頼いただいた場合の流れについて解説いたします。空撮映像をもっと気軽に使っていただけるよう、実際の制作実績もご紹介させていただきます。

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