【照明機材解説】写真撮影のライティング基礎知識|ストロボと定常光
プロのような写真撮影を行うために最も重要な要素は照明(ライティング)です。今回は写真撮影の照明の基礎知識と、照明機材について解説します。
光の種類
自然光と人工光
写真を撮影するのに使用する光には大きく分けて2種類あります。太陽の光を利用する自然光と、照明機材を利用する人工光です。
実際の撮影現場では太陽光を利用した撮影だけでは天気や時間に制限されるため、人工灯を使った撮影が必要です。
自然光に比べて難しい印象のある人工光ですが、照明機材と基本的なライティングセットを学ぶことで、いつでも安定した撮影環境を手に入れることができます。
定常光と瞬間光
写真撮影に使う照明機材には定常光と瞬間光の2種類の発光方式があります。
定常光は、一定の明るさを保ち、常時光を放ち続ける光源です。
瞬間光は、瞬間的に発せられる光源です。瞬間光は写真撮影特有の照明機材です。使い方によっては写真ならではの面白い表現も可能です。
ふたつの光の種類の特徴を理解し、最適な照明機材を選びましょう。
瞬間光のメリット
定常光に比べて、瞬間光は光量が多く明るい光の照明機材です。写真撮影において明るい光には多くのメリットがあります。
瞬間光のことを一般的にストロボやフラッシュとも呼びます。ストロボには、自動で明るさを調整可能なタイプ(TTL調光)と、マニュアル調光のみの2種類があります。
ストロボを使ったの具体的な撮影方法に関してはまた別のコラムで解説していきます。
照明機材の種類
瞬間光照明(ストロボ)
●クリップオンストロボ
一眼レフカメラなどの上部(ホットシュー)に取り付けて使う外付けタイプのストロボです。自動で光量を調整するTTL調光が可能な機種が多く、知識がなくても扱うことができます。
小さく軽く持ち運びに便利なため、屋外のポートレート撮影やスナップ撮影などで重宝します。デメリットとしては軽量な分、光量が少なく、商品撮影などでは発光量が不十分な場合があります。
クリップオンストロボは各カメラメーカーが販売しています。特にこだわりがなければ、カメラ本体と同じメーカーの純正品を選べば問題ありません。
●ジェネレータータイプ
発光するヘッド部分と、蓄電部分(ジェネレーター)が別々になったストロボを一般的にジェネレーターと呼びます。
ジェネレータータイプの照明は、ストロボ照明機材の中でも光量が大きく、スタジオ撮影向きなのが特徴です。大型で価格も高価なものが多く、スタジオや照明機材専門店等でレンタルすることもあります。
瞬間光は、一回の発光ごとにチャージ(充電)を必要としますが、ジェネレータータイプの照明はチャージ時間が短く、連続してシャッターを切る必要があるモデル撮影等に向いた機材です。
●モノブロック
発光するヘッド部分と、蓄電部分が一体型になったストロボを一般的にモノブロックと呼びます。クリップオンより光量が大きく、ジェネレーターよりコンパクトなため、使用用途の幅が広く使い勝手が良いのが特徴です。ただし、ほとんどのタイプがマニュアル調光のため、使用時には露出(※)の知識が必要です。
クリップオンとは違い、カメラ本体に取り付けるのではなく、スタンドなどに取り付けて使用します。一般的には電源を必要としますが、一部のバッテリーで動くタイプは屋外での撮影も可能です。
露出
露出とは、写真を撮るときに取り込まれる光の量のことを言います。光の量は絞りとシャッター速度で決定され、それにISO感度を組み合わせた結果、写真の明るさが決まります。
定常光照明
●HMI照明
HMI照明は定常光照明機材の中でも非常に大きな光量を持つ照明です。太陽にも似たライティング(デイライト)を演出でき、主に映画やドラマなどの動画撮影の現場で使われます。
大型で高価なため、撮影スタジオなどででレンタルして使用する機会の多い機材になります。
LED照明
●LED照明は近頃開発が急速に進み、タングステン灯などの従来の定常光の代替として選択する機会が増えてきました。
小型で軽量、安価で買えるため、気軽に使える照明として動画撮影を中心に人気ですが、写真撮影においても有用な照明です。
瞬間光とは違い、目で見たままを撮影できる定常光ライティングは初心者にも扱いやすく便利です。
また最近のLED照明は演色性に優れ、カタログなどに使用する商品撮影にも利用できるようになりました。
LEDは寿命が長い点が、常時点けっぱなしにする定常光撮影において大きなメリットです。デメリットとしては、光量が小さいため、明るさが不足する懸念がある点です。LED照明では光量が不足する場合、写真撮影ではストロボを選択することになります。
最適な光を選ぶための3つの要素
色温度(ケルビン)
ロウソクの光や夕暮れのような赤みを帯びた光や、蛍光灯のような青っぽい光など、光には赤、黄、青のような色があります。この光源が発する光の色が色温度です。色温度はケルビン(K)という単位を使って表します。赤味を増す程「低い」と言い、青味が強い程「高い」と表します。中間値の目安は太陽光や白色LED電球の5000Kです。被写体にに光を当てた時に、約4000K以下だと赤みがかって見え、7500K以上になると青みがかって見えます。
ひとつの被写体に色温度が違う照明機材を使うと失敗の原因になりやすいため注意が必要です。
演色性(演色評価数)
演色性とは、照明などの光が被写体を照らした時の色の見え方のことです。一般的には自然光(太陽光)を基準にし、より色の見え方が自然光に近い光を「演色性が良い」と表現します。
演色性を数値化した指数を演色評価数と言います。演色評価数が高いほど、光がどれだけ色を忠実に表現できるかを表します。
光の質感(柔らかい光/硬い光)
太陽光の中でも直射日光の下では、被写体はメリハリのある影がはっきりとした写りになります。日陰や曇りの光だと影の薄い柔らかな印象で撮ることができます。
直射日光のような真っ直ぐな強い光を硬い光と表現し、反対に曇りの光のような拡散された光を柔らかい光と表現します。
光の性質をコントロールすることは、写真のイメージ作りには欠かせません。照明選びにおいても硬い光・柔らかい光を意識することが重要です。
人工光を使用する際には、ディフューザーやレフ板などを使い、光を拡散させることで光の硬さ・柔らかさをコントロールします。
硬い光・柔らかい光についてはこちらのコラムも合わせてお読みください。
まとめ
いかがでしたでしょうか?写真撮影をレベルアップするためのポイントはライティングです。
LED照明は最近ますます開発が進み、使いやすく安価な商品が手軽に入手できるようになりました。是非照明機材を使った写真撮影で、ワンランク上の広告やウェブサイトを目指してみてください。
自然光を使った撮影方法はこちらからどうぞ。
京都で40年、京都広告デザイン.comは広告・デザインのエキスパートです。印刷物やウェブサイト、写真・動画撮影でお悩みの方はお気軽にご相談ください。お問い合わせはコンタクトフォームまたは電話でも承っています。