言葉で画像を描き出す 画像生成AI「Stable Diffusion」とは?

武田 知也

大きな木のある並木通りに、未来的な建物が描かれた絵画。
車や木の緻密な描写、どこか未来的な雰囲気を感じさせながらも落ち着いたトーンでまとめられています。

この絵、実は画像生成AIを使いテキストだけで自動生成されたものです。

下の4人の女性の肖像画も同じ画像生成AIで描かれています。実在する人物をモデルにしたものでも、時間をかけて描かれた油絵でもありません。テキストを入力するだけで、ほんの数秒で完成します。

最近SNSなどでも話題の「画像生成AI」や「描画AI」。もうすでに利用されたことのある方は、その革新ぶりに驚いたのではないでしょうか。
カメラの登場が絵画の価値を変えたように、画像生成AIの登場は世界のルールを変えてしまいそうな程の存在感を放っています。
今回は今年8月に公開されたばかりの「Stable Diffusion」を作例とともにご紹介します。

Stable Diffusion(ステーブル・ディフュージョン)とは

画像生成AIの中でも特に注目されているのが「Stable Diffusion(ステーブル・ディフュージョン)」です。2022年8月に公開されたオープンソース描画AIで、ユーザーがテキストでキーワードを指定すると、言葉に応じた画像が自動生成されます。

オープンソースとは?
オープンソースとは、ソフトウェアを構成しているソースコードを無償で公開することです。誰でも目的を問わずソフトウェアの利用・改良・再配布を行うことができます。

Stable Diffusionを簡単に使える「DreamStudio」

「DreamStudio」は、Stable Diffusionの開発元であるStability AI社が開発・運営するWeb上でStable Diffusionを使うことができるサービスです。
現在β版がリリースされており、無料で利用することができます。

※利用の際にはメールアドレスが必要です。

使い方はシンプルです。
一番下にあるテキストボックスに任意の言葉を入力し「Dream」ボタンをクリックするだけです。
右の設定を使い幅(Width)や高さ(Height)、処理回数(Step)などの細かい調整も可能です。画面左側のサイドメニューからは履歴を見ることができます。

今後はプロ版や3Dや動画、音声にも対応していくとの発表もあり、ますます目を離せません。

Stable Diffusionを使った画像生成例

「りんご+巨匠」

では、実際にStable Diffusion(DreamStudio)を使い、りんごを有名画家に描いてもらったらどうなるか?という画像を自動生成すべく「りんご+作家名」を試してみました。

「りんご+フィンセント・ファン・ゴッホ」

apple, Vincent Willem van Gogh,

「りんご+クロード・モネ」

apple, Claude Monet,

「りんご+パブロ・ピカソ」

apple, Pablo Ruiz Picasso,

「りんご+ポール・セザンヌ」

apple, Paul Cézanne,

「りんご+アンディ・ウォーホール」

apple, Andy Warhol,

「りんご+ウィリアム・ターナー」

apple, J. M. W. Turner,

それぞれの画家の特徴を捉えた驚くべき絵画が誕生しました。テキストの選択により、自動生成の精度が変わってきます。今後は絵を描く技術ではなく言葉を選ぶ技術が必要になる時代がやってくるかもしれません。

AIが作り出した絵画・写真の著作権問題

誕生したばかりの画像生成AIは、専門家や技術者でなくとも誰でも簡単に扱え、またクオリティの高い絵画や写真を際限なく生成し続けています。
あまりのクオリティの高さに、「絵を描く仕事はなくなるのではないか。」「もはや写真を撮影する必要がないのでは?」といった、今ある仕事がなくなるのではと危惧する声も聞こえてきます。

とりわけ、話題にないるのが著作権に関する問題です。上の作例でも使用したように「アンディ・ウォーホール」などの作家の名前を使用することで、作風に寄せた自動生成が可能です。これはAIが大量の絵や写真など著作権のある画像を勝手に収集・学習し、作風を似せているからです。この場合、著作権違反には触れないのか?という問題があります。それと同時に、そもそもAIが自動生成した画像には著作権があるのか?という疑問も浮かび上がってきます。
まだはっきりとした答えがある段階ではありませんが、こうしたAIによる自動生成は、今後画像だけでなく動画や音楽など利用できるコンテンツがどんどん広がってくことが予想されます。自動生成AIの著作権問題は今後ますます議論が活発になっていくことでしょう。

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