【企業から学ぶ】体験を創出する スターバックスのマーケティング戦略

武田 知也

スターバックスといえば、おいしいコーヒーと居心地の良い空間、親しみのある接客で、日常的に利用する人も多いのではないでしょうか?
日本に1811店舗(2023年7月現在)を構え、日常生活に溶け込んでいるスターバックスですが、CMや雑誌広告を見たことがある人はいないはずです。それもそのはずで、スターバックスはテレビや新聞といったマスメディア広告をほとんど使っていません。

では、スターバックスの人気はどのようなマーケティング戦略を使っているのか。今回は3つのマーケティング戦略、「スターバックス体験」「サードプレイス」「マスメディア広告を使わない、体験こそが広告」について解説していきます。

マーケティング戦略 1「スターバックス体験」

スターバックスの体験型マーケティングとは?

スターバックスがマーケティングにおいて最も重要視しているのは、顧客に単にコーヒーを提供するだけでなく、いかに良い店舗体験をしてもらうかです。
スターバックスの哲学では、「コーヒー」という製品を超えたサービスと価値を顧客に提供することが目指されています。顧客が店舗に足を踏み入れると、独特のコーヒーの香り、バリスタの職人技、親しみやすいスタッフの笑顔、心地よい音楽と照明が絶妙に組み合わさり、そこはただのコーヒーショップ以上の場所になります。

スターバックスが提供する特別な体験

顧客はスターバックスで高品質なコーヒーを味わうだけでなく、友人や同僚との会話、リラックスしたり勉強したり作業したりする静かな空間、または新たな人々との出会いを楽しむこともできます。

店舗での体験を重視するマーケティング手法を用いることは、スターバックスのブランドを強化し、顧客のリピート率を高めることに繋がります。

マーケティング戦略2「サードプレイス/第3の場所」

 

「サードプレイス」のコンセプトとは?

スターバックスが日本位上陸した2003年誕生以来掲げているのが「サードプレイス」という概念です。「サードプレイス(第3の場所)」とは、自宅でも職場でもない、第3のリラックスできる場所のことです。
スターバックスの創設者ハワード・シュルツは、店舗をただのコーヒーショップではなく、自宅や職場以外の社交の場やリラックス空間として位置づけました。これは、顧客にとって、スターバックスが日常生活の一部、そしてコミュニティの一部となるような体験を提供する戦略です。

「サードプレイス」の役割とは?

スターバックスのどの店舗に訪れても、快適な照明、リラックスできる音楽、親しみのあるバリスタなど、一貫した体験が提供されています。「サードプレイス」を掲げることで、こういった仕掛けは友人との会話、リラックスや仕事、学習などのための静かな空間、新たな人々との出会いといった体験を提供することが可能となります。

これらの要素が組み合わさることで、「サードプレイス」はただの飲食店を超え、顧客にとってスターバックスがリラックスできる場所であり、社会的なつながりを深める場所となります。

マーケティング戦略3「マスメディア広告を使わない、体験こそが広告」

マスメディア広告を使わない理由

マスメディア広告(新聞・雑誌・テレビ・ラジオの4媒体)を使用しないマーケティング手法は、スターバックスの発祥の地シアトルの創業当時からの戦略のひとつです。(当時は予算が限られていたという事情もあったようですが。)
店舗での体験がスターバックスのマーケティングの中心であり、顧客が直接体験したことが自然に広まり、口コミや、リピートへと繋がります。それにより、スターバックスはマスメディア広告に頼ることなく、顧客を増やすことに成功しています。

 

優れた「体験」こそが「広告」

不特定多数に向けられたマスメディア広告と違い、スターバックスの戦略は店内でコーヒーを楽しむ顧客ひとりひとりに向けられています。バリスタが顧客と向き合い、スターバックス体験を楽しんでもらうことに注力することで、顧客が感じる喜びや満足感を最大化し、ブランドの価値を高めています。
また、店舗のデザイン、コーヒーの品質、スタッフの接客態度など、スターバックスのすべての要素を通じて、顧客に対して一貫したメッセージを発信することで、強固なブランドイメージを構築しています。

まとめ

いかがでしたでしょうか?スターバックスの成功は、ただ単においしいコーヒーを提供するということだけでなく、顧客に提供する体験と感情に重点を置いたマーケティング戦略によるものです。スターバックスのマーケティング戦略を学ぶことで、顧客がブランドとの関係を通じて何を感じ、どのように経験するかについて深く理解することができ、自社のブランディング戦略に役立てることができます。

今度スターバックスを訪れる機会には、ぜひ今回ご紹介したマーケティング手法を思い出しながら「スターバックス体験」を楽しんでみてください。

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