エコフレンドリーなパッケージデザインの重要性

武田 知也

エコフレンドリーなパッケージデザインの必要性とは

近年、地球環境の変動と破壊は急速に進行しており、これに対する対策が急務となっています。そのため、多くの企業が持続可能なビジネスモデルを探求し、エコフレンドリーな製品開発に力を注いでいます。その一環として、エコフレンドリーなパッケージデザインの重要性がますます高まっています。

エコフレンドリーとは
エコフレンドリーとは、文字通り「環境に優しい」という意味です。これは、製品やサービスが環境に対して最小限の負荷をかけ、可能な限り持続可能性を高めるという原則に基づいています。エコフレンドリーな製品やサービスは、私たちの地球とその自然環境を守るための重要な手段です。

環境配慮型パッケージとは、パッケージ全体のライフサイクルにわたる環境影響を最小限に抑えることを目指したものです。これは、素材選択、製造プロセス、配送、最終的な廃棄までの各段階での環境負荷を考慮します。

環境配慮型パッケージデザインは、資源や素材の効率的な使用、廃棄物の減少、再利用とリサイクルの促進など、環境負荷を軽減する多大な効果をもたらします。

環境に配慮した素材選び

エコフレンドリーなパッケージデザインを実現するためには、素材選びが重要な要素となります。

リサイクル可能な素材

リサイクル可能な素材の使用は、資源や素材の効率的な使用と廃棄物の削減に役立ちます。このような素材を使用することで、製品のライフサイクル全体を通じて環境への影響を軽減することができます。

生分解素材

生分解素材は、自然環境下で微生物の活動により分解される特性を持ちます。これにより、廃棄後も環境負荷が低くなります。

持続可能な原料の活用

持続可能な原料の活用は、過剰な森林伐採や採掘を防ぎ、地球資源の保護に役立ちます。例えば、認証済みの森林から得られる紙や、再生可能な植物資源を活用したプラスチックなどがあります。

環境負荷を考えた印刷用紙

環境負荷を考えた印刷用紙とは、その製造と使用が環境に与える影響を最小限に抑えることを目指した印刷用紙です。

再生紙

古紙から再生パルプを回収し、原料として製造した紙を再生紙と言います。新たに木材を伐採することなく製造することが可能です。これにより、森林資源の保護と廃棄物の削減が可能となります。
古紙のリサイクルを繰り返すと、強度や紙色など紙の品質が悪くなること、また古紙を使用しない製造に比べ、コスト、環境・技術面で負担が大きいというデータもあり、古紙100%にこだわるのではなく、用途に合わせた適切な古紙配合率が良いとされています。

間伐材紙

間伐材とは、森林の成長過程で過密になる立木を間引いた木材のことです。森林は木々が過密になると、地表に日光が届かず成長に支障が出ます。そのため、健全な育成状態を維持するためには間伐が必要です。これらの間伐材を原材料にした紙のことを間伐材用紙と呼びます。

森林認証用紙

森林認証制度とは、適切に管理された森林認証材を使用した用紙です。代表的な森林認証「PEFC」「FSC」によって、適切な森林の管理・伐採を行い環境や地域社会に配慮されていると評価された、森林由来の製品へに発行する認証制度です。
認証紙は、森林の成長、管理、生態系への配慮を適切に管理し環境保全を行い「森のリサイクル」を行う林業者を支援し、世界の森林保全に貢献することへ繋がります。

シンプルで効果的な構造

シンプルで効果的なパッケージ構造をデザインすることもまた、エコフレンドリーなパッケージデザインに不可欠です。

無駄のない構造

パッケージに無駄があると、不必要な材料の使用や廃棄物の増加を招く可能性があります。そのため、必要最小限の素材を使用し、簡単に開封・閉封ができるデザインが求められます。

インクやプリント方法の選択

印刷方法やインクの選択も環境負荷に影響を及ぼします。例えば、溶剤ベースのインクではなく、水ベースのインクを使用することで、有害物質の排出を抑えることができます。

・水なし印刷
印刷時の廃液を排出しない技術です。
廃液には有害溶剤を含むこともあり、水なし印刷を採用することで環境保護活動に取り組むことができます。

・植物油インキ
環境に配慮した植物油インキ(ベジタブルオイルインキ)です。
再生可能な大豆油、ヤシ油、パーム油、亜麻仁油等から生産された油や、廃食用油をリサイクルした再生油を使用して生産されています。

リサイクルしやすいデザイン

最終的には、パッケージがリサイクルしやすい形状や構造であることが重要です。これにより、製品のライフサイクルの終わりで、適切にリサイクル処理を容易にします。

ブランドイメージと環境責任

エコフレンドリーなパッケージデザインは、単に環境負荷を減らすだけではなく、ブランドのイメージを高める効果もあります。

企業の持続可能性への取り組み

エコフレンドリーなパッケージデザインを導入することで、企業の持続可能性への取り組みを具体的に示すことができます。これは、環境に配慮する意識が高まる現代社会において、消費者の評価を得る上で非常に有効です。

消費者とのコミュニケーション

パッケージは製品と消費者の間の最初の接点であり、そのメッセージがブランドの価値観を伝える重要な役割を果たします。エコフレンドリーなパッケージデザインを通じて、消費者に企業の環境への配慮を示すことができます。

環境への配慮がもたらすブランド価値

最終的に、これらの努力は環境への配慮がもたらすブランド価値を高めることに繋がります。社会の要求と消費者の期待に応えることで、企業は強固なブランドイメージを構築し、競争優位性を確保することができます。

まとめ

エコフレンドリーなパッケージデザインは、環境問題に対する企業の責任と消費者の意識の高まりからますます重要性を増しています。素材の選択から構造、さらにはブランドイメージに至るまで、総合的な視点からの配慮が求められています。
このようなパッケージデザインは、地球環境を保護するという目標と共に、製品の価値を高め、企業の信頼を強化する役割も果たします。

これらの取り組みは大きな投資を必要とするかもしれませんが、長期的に見れば確実に価値ある投資となるでしょう。私たちはすべて、自分たちの行動が未来の地球を形成する一部であることを常に意識することが求められています。

こちらのコラムも合わせてどうぞ。

SDGs入門|持続可能な社会のために印刷物にできること

京都で40年、京都広告デザイン.comは広告・デザインのエキスパートです。印刷物やウェブサイト、写真・動画撮影でお悩みの方はお気軽にご相談ください。お問い合わせはコンタクトフォームまたは電話でも承っています。