企業とSDGs|広告・プロモーション事例5選

武田 知也

前回のコラム「企業とSDGs|なぜ広告にSDGsを取り入れる必要があるのか」では、企業がSDGsを意識したに広告やプロモーションに取り組む機会が増えてきた経緯について解説しました。今回は実際の企業のSDGs広告事例をご紹介していきます。

企業とSDGs|なぜ広告にSDGsを取り入れる必要があるのか

企業がSDGsを広告・プロモーションを行う際のポイントとして「製品・サービス」「事業プロセス」「社会貢献活動」「企業理念」の4つに分けることができます。

1.製品・サービス
製品やサービスそのものがSDGs目標の課題解決のためのアプローチになっている

2.事業プロセス
製造、運送、販売や人事雇用、労働環境などがSDGs目標の課題解決のためのアプローチになっている

3.社会貢献活動
ボランティア、地域貢献活動、寄附・寄贈などを通じてSDGs目標の課題を解決する

4.企業理念
企業理念・ミッションといった価値観を通じてSDGs目標の課題に向き合っている

企業は4つのアプローチから広告などを通じて私たちにメッセージを伝えています。

4つの中でも特に身近なのは「1.製品・サービス」のアプローチです。「エコ」や「サスティナビナリティ」といったキーワードのCMや商品パッケージにに生活の中で出会う機会も多くなったのではないでしょうか?
「2.事業プロセス」においても、例えばパッケージ改善によるCO2削減であったり、女性の活躍する職場、女性リーダーの採用など、具体的な解決方法の提示を広告を使って私たちに伝えています。

自社でSDGs広告を出す場合には、4つのうちどのポイントを押さえているか、また「SDGsウォッシュ」になっていないかをよく検討しましょう。

「SDGsウォッシュ」とは
実態が伴っていないのにSDGsに取り組んでいるように見せかけること、または不都合な事実を伝えず、良い情報のみを伝達すること。

次に、身近な商品や企業のSDGs広告・プロモーションの実例を、持続可能な開発目標(SDGs)の17のゴールの内、どの目標に該当するかと一緒に紹介します。

身近なSDGs広告

POLA-国際女性デー


化粧品を扱うPOLAの3/8国女性際デーに関するメッセージを掲載した新聞広告です。
「POLA2029年ビジョン」のウェブサイトは手をモチーフにしたグラフィックイメージで展開してとても面白いです。

POLA 2029年ビジョン | ポーラ公式 エイジングケアと美白・化粧品

ポーラの2029年ビジョンサイトです。人をケアする。社会をケアする。地球をケアする。We Care More. 世界を変…

【関係するSDGs目標】

●目標5[ジェンダー]

ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児のエンパワーメント※を行う

※エンパワーメントとは
日本では能力開化や権限付与とも言います。女性が本来持っている力を発揮し、自らの意思決定により自発的に行動できるようにすることを意味します。

ユニクロ-服のチカラを、社会のチカラに。

ユニクロを展開するファーストリテイリングは「よい服をつくり、よい服を売ることで、世界をよい方向へ変えていくことができる」をミッションに掲げています。
ユニクロの環境負荷に配慮した商品ダウリサイクルのように、服から服へのリサイクルを目指し、ユニクロは全商品をリサイクル、リユースする取り組み「RE.UNIQLO」を進めています。

WEBサイト

【関係するSDGs目標】

●目標12[持続可能な消費と生産]

持続可能な消費生産形態を確保する

シャウエッセン-シャウ、断髪。CM

日本ハムのソーセージ「シャウエッセン」は、環境に配慮した新パッケージ変更に際し、相撲の断髪式に擬えた「シャウエッセン断髪式」というユーモア溢れる動画にして公開しました。SDGsに関心の薄い消費者にも共感してもらえるように工夫されており、今後のSDGsのお手本のひとつになるのではないでしょうか。

シャウエッセン|日本ハム株式会社

旨味とコクたっぷりのあらびきポーク肉を天然の羊腸に詰めた、本格的なあらびきウインナー。パリッ!としたおいしさ「シャウエッ…

【関係するSDGs目標】

●目標12[持続可能な消費と生産]

持続可能な消費生産形態を確保する

●目標14[海洋資源]
持続可能な開発のために、海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する

パタゴニア-気候危機は私たちのビジネス課題

気候変動に関する課題に積極的な姿勢のアウトドアブランドパタゴニアでは、ビジネスの全ての部分が気候変動と関係していると考え、製造方法から根本的に変える取り組みを行なっています。

【関係するSDGs目標】

●目標7[エネルギー]

すべての人々の、安価かつ信頼できる 持続可能な近代的なエネルギーへの アクセスを確保する

●目標12[持続可能な消費と生産]
持続可能な消費生産形態を確保する

●目標13[気候変動]
気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる

●目標15[陸上資源]
陸域生態系の保護、回復、持続可能な利 用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する

日清カップヌードル-フタ止めシール

日清カップヌードル50周年を迎え、「フタ止めシール」を廃止を行いました。これにより年間33トンのプラスチックの使用が削減されるとのことです。新しい形状「Wタブ」の形をうまく活かし、蓋をめくるとネコのキャラクターが登場します。


"フタ止めシール" を廃止して、年間33トンのプラスチック原料を削減! 「カップヌードル」に新形状のフタ "Wタブ" を2021年6月より採用

日清食品株式会社 (社長:安藤 徳隆) は、「カップヌードル DO IT NOW!」プロジェクトの一環として、プラスチッ…

【関係するSDGs目標】

●目標12[持続可能な消費と生産]
持続可能な消費生産形態を確保する

いかがでしたでしょうか。
SDGsに関する広告においてもっとも注意すべきは、その広告・プロモーションが本当に課題に対する取り組みとして機能しているかどうかという点です。
前回のコラム「企業とSDGs|なぜ広告にSDGsを取り入れる必要があるのか」でも解説しましたが、一度「SDGsウォッシュ」の烙印を押されると、信用を回復するのは容易なことではありません。SDGsが企業にとってただのプロモーションツールになっていないか、消費者は厳しく判断します。

今後の企業活動において、持続可能な開発目標はますます重要性を増していくでしょう。広告においてもSDGsを無視するのが難しい時代になっていきます。企業は広告を使ってメッセージを消費者に届ける必要があります。

SDGsに関してはこちらのコラムでも解説しています。ぜひ合わせてお読みください。

SDGs入門|持続可能な社会のために印刷物にできること

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