紙媒体による感覚マーケティングとは?

武田 知也

感覚マーケティングとは

買い物にいった時、手に取った商品を購入する決め手は何でしょうか?

価格、デザイン、利便性、流行、インターネットの口コミが良かったから。様々な項目が思い浮 かびますが、最後の決め手となったのは「なんとなくこちらのほうが良さそう」といった「感覚」による判断だったことはないでしょうか?

市場の成熟に伴い製品やサービスの差別化がより一層難しくなる中において、消費者の「感覚」を考えることは今後ますます重要になってきます。
「視覚」「聴覚」「嗅覚」「味覚」「感覚」
五感への刺激をうまく取り込み、消費者にポジティブな影響を与えること。この消費者の「感覚」に注目したのが「感覚マーケティング」です。

人間の行動の95%は無意識化で決定している

ハーバード大学のマーケティング学教授シェラルドザルトマンは、「わたしたちの思考・感情・学習の95%は意識されることなく生じている」 と言っています。
朝起きてから寝るまでの1日の間での判断や行動といったことは、そのほとんどが習慣的に無意識化で行われ、意識しているのは全体の5%でしかないというから驚きです。

裏を返して考えると、無意識化の95%に刺激を与えることができれば、自社製品やサービスをより選んでもらう機会を作ることができるようになるということです。そのためにはどうしたらよいのでしょうか?

DM(ダイレクトメッセージ)とEメールの違い

無意識化への影響を探るにあたって、ひとつの例として消費者に郵送物を届ける紙媒体のDM(ダイレクトメッセージ)とメールマガジンなどデジタルで訴求するEメールについて考えてみます。
アナログとデジタル、メッセージは同じ内容でもその届き方は異なります。情報を発信する側にとっては、主にコスト面で大きく変わってきます。
受け取る側にはどのような違いがあるのでしょうか?
ある研究によるとDMとEメールを比較した時に、DMのほうがより「温かみを感じる」という結果がでました。年代別に見たところ、特に30代以下に多かったそうです。
30代以下というデジタルネイティブ世代ほど、紙媒体の情報に温度を感じたというのはなんとも興味深いと思いませんか。

紙媒体の「温かみ」の正体とは

どんなに丁寧に綴られた文章であっても、無機質な液晶画面に届くEメールでは味気ないものです。印刷や郵送といった手間のかかった自分の名前宛で届くDMのほうが、より紙の向こうにいる人の気配を感じとることができるのではないでしょうか。
個人名宛に届くメディアは特別感や限定感が高く、Eメールに比べ開封率7割以上と高いのも特徴です。

ハガキという紙でできた物質の感触は、紙の「質感」や「重さ」を通して無意識化に働きかけ、それが「温かみ」として言葉に表現されたとも言えます。
紙の「質感」や「重さ」はわたしたちが認識する以上に無意識へ働きかけているのです。

「言葉に重みがある」「責任の重み」など、「重さ」という表現はその事柄が重要である時に使われます。例え紙1枚のほんのわずかな重量であったとしても、触覚による刺激は想像以上に、無意識化に影響を及ぼすのではないでしょうか。

紙媒体によるメリット・デメリット

<メリット>
・内容の理解力が増す
・内容が記憶に留まりやすい
・開封率が高い(ある調査ではDM開封率7割以上に対し、Eメールは1~2割)
・レスポンス率(クーポン使用など)が高い

<デメリット>
・コストがかかる
・Eメールに比べ、配布量が下がる
・適切なタイミングを考慮する必要がある
・印刷・郵送などの手間が多い

まとめ

DMとEメールのどちらがより効果が高いかという問題ではなく、重要なのはアナログとデジタルは補完関係にあるるという点です。
感覚マーケティングを踏まえた上で紙媒体を有効活用し、多くの情報を持つインターネットへどう誘導するかが肝となってきます。
オンラインショップの顧客に対しても、より訴求力の高い施策のひとつとして、インターネットにはできない触覚を刺激するために紙媒体を利用するのもひとつの方法です。

紙媒体による触覚だけでなく、店舗等で香りを演出する「嗅覚」や、飲食店でのBGMによる「聴覚」など、感覚マーケティングはいたるところに散りばめることができます。

95%の無意識に響くボジティブな影響がもたらす効果について、検討してみてはいかがでしょうか。

紙媒体のデザインや質感・加工まですべて、印刷物をあつかって30年の株式会社テイストにお任せください。お客様の製品の本質を追求し、お悩みを共有することでそれぞれにふさわしい見せ方・伝え方を探ります。